【国境】皇崗口岸

香港と深圳の間には複数の出入境検査場がありますが、今回は 皇崗口岸 を取り上げます。以前に羅湖口岸について書いたことがありますので、そちらもご覧ください。

 

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皇崗口岸は中華人民共和国広東省深圳市福田区と香港特別行政区北区の間に位置する、24時間開放の出入境検査場です。深圳河を挟んで香港側の落馬洲管制站(MTR落馬洲駅ではない)と接続しています。

 

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皇崗口岸

 
利用者数は羅湖口岸に次ぐ国境であり、中国全土でも珠海とマカオを連絡する拱北口岸に続く第3位の国境です。1989年に設置され、2003年1月より24時間開放となりました。

 

香港側と深圳側のイミグレーションが離れているため、緩衝地帯の徒歩移動はできず、バス等に乗らない限り越境できない仕組みになっています。香港空港からのスカイリモや、香港島や九龍と深圳を結ぶ跨境バスの多くがここを利用します。私もスカイリモに乗車し入境したことがあります。

 

スカイリモは乗り合わせハイヤー(リムジンカー?)のことですが、7人乗りのバン(アルファードとか)がほとんどです。香港空港から乗車する場合、次の流れになります。

 

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スカイリモ

まず、空港内のスカイリモカウンターでチケットを購入します。乗客が定員になったところで、順次発車します。

 

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香港国際空港 スカイリモ乗車場


先頭に並んでいても、狡猾な現地人に助手席を奪われることがあります。深圳まで1時間弱ですので、後部座席の真ん中に当たると最悪です。香港空港を出ると高速道路に入り、ほとんど渋滞もなく一直線に皇崗口岸へ向かいます。乗車したまま香港を出境します。


香港からの出境時、自動化ゲートが使えないためe-道(e-channel)保有者であったとしても出入国カードを書く必要があります。スカイリモは高速道路の料金所のようなブースで一旦停車し、ドライヴァーが乗客全員のパスポートと出入国カードをまとめて係官に渡します。所要10分程度で出境審査が終わり、緩衝地帯を走り抜けます。数分で深圳側に到達し、イミグレーション手前が降車場となります。

 

入境後は、隣接の深圳地鉄7号線皇崗口岸駅から深圳市内へと移動することができます。事前にスカイリモにお願いしておけば、市内のホテルまで送ってもらえるようです(追加料金が必要だったはず)。

 

反対に、深圳から出境し香港へ入境する場合、香港各地へ向かうバスに乗車することになります。

 

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皇崗口岸 深圳側イミグレーション

 

油尖24小時跨境快線尖沙咀まで行ってみましょう。

 

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油尖24小時跨境快線(皇崗過境バス)

 

まず、チケットを購入します。尖沙咀までHKD50です。支払いは香港ドルですが、釣り銭が出ないのを了承のうえで人民元も取り扱うようです。オクトパスでも支払えます。なお、検査場内にATMや両替所はなかったと記憶していますので、旅行者は要注意です。チケットは2枚綴りになっていて、深圳側イミグレーション→香港側イミグレーションの乗車時に1枚目をもぎられます。

 

緩衝地帯を走り抜け、一度、落馬洲管制站香港側イミグレーション)で降車し、入境審査を受けます。この際、荷物を持って降車する必要があります。香港側入境後、バスに再乗車しますが、ここでチケット2枚目を回収されますので、紛失しないように! 入境に手間取った場合、バスは待ってくれません。次のバスに乗ることになります。

 

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落馬洲管制站 入境後バス乗り場

 

油麻地、佐敦を経由し、尖沙咀まで1時間程度です。柯士甸道(オースティン通り)に跨界巴士総站(跨境バスターミナル)があります。

 

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柯士甸道跨界巴士総站(オースティン通り跨境バスターミナル)

 

以上、陸路国境マニアには垂涎の皇崗口岸でした。いつの日か、また自由な往来が可能になることを願って。

【アプリ】楽天ペイ(アプリ決済)

本日、 楽天ペイ(アプリ決済) のアップデートがありました。

 

payment.rakuten.co.jp

 

どうやらUIが更新されただけで、目新しい機能が追加されたわけではないようです。“スーパーアプリ”などと謳っていますが、どうということはありません。

 

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楽天ペイアプリ

 

今回のUI強化により、楽天カードの利用明細と楽天銀行の預金残高が、楽天ペイアプリからそれぞれのアプリに遷移して確認できるようになるだけのことです。なので、それぞれのアプリをインストールしていない人には実益がない話。

 

また、楽天ポイントを利用し、投資の疑似体験ができるポイント運用や、国内最大級のゴルフ場予約サイト楽天GORAのゴルフ場でのサインレスチェックイン、来店ポイントの楽天チェック、レシートを送信して楽天ポイントがもらえるRakuten Pasha、各サーヴィスで利用できるクーポンにも対応したようですが、それで利便性が格段に向上する人がどれだけいるのでしょうか。

 

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アップデート後

 

決済・ポイントに関連するサーヴィスや機能を集約し、グループ全体のアプリの連携を図るのが狙いのようですが、結局は楽天ペイアプリから各アプリへリンクするだけの話で、単体でワンストップで完結できるわけではありません。

 

私個人としては、楽天キャッシュと楽天Edyの統合(近日予定)、さらには(楽天ペイの)Suicaとの残高の共有まで踏み込んでもらえると、使い勝手が向上すると考えています。

【アプリ】Revolut

Revolut(レボリュート は、昨年10月から日本でもサーヴィスインした英国発の送金システムです。VISAブランドのデビットカードを使って入出金が可能であり、手数料不要かつ有利なレートでの為替両替、送金、予算管理、貯金など多くの機能を備えた金融アプリです。

 

www.revolut.com

 

日本では2019年後半頃から招待制でテストを先行しており、私は昨年8月末に招待を受けました。その時点で1万人以上のユーザーが登録していたようですが、10月8日に正式にローンチし、誰でも申し込めるようになりました。全世界のユーザーは1,300万人以上とのことです。

 

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スタンダード

 

Revolutの特徴は、手数料不要でリアルタイムで為替レートを確認できるほか、展開するイギリス、ヨーロッパ、アメリカ、シンガポール、オーストラリアなど世界各地のRevolutユーザーに無料かつ瞬時に送金できることです。

 

入金にはクレジットカードを登録しチャージする形ですが、VisaとMastercardが対応しています。23の通貨を保有・両替可能で、送金は31通貨に対応しています。料金プランは、

 

・スタンダード 無料

・プレミアム 980円/月(年払いで9,800円)

・メタル 1,800円/月 ※日本未提供(2021年8月現在)

 

の3種類があります。

 

プレミアムでは、ATM引出額の上限拡大やカード選択肢の拡大、優先サポート、ワンタイムヴァーチャルカード、LoungeKeyパスへのアクセスなどの機能が提供されています。画像(↓)では、ブランドがMastercardになっていますが、日本ではVISAが採用されています。色はスペースグレー、シルバー、ローズゴールドの3種類から選ぶことができます。

 

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プレミアム(ローズゴールド)

 

私はプレミアムを約1年間使ってみましたが、コロナ禍の現状では、特典から享受できるメリットはほぼ皆無でした。やはり、ボーダーレスな世界でのビジネスやアクション、もしくは海外旅行時に本領を発揮するカードといえるでしょう。

 

競合する類似のアプリには、kyash、6gram、IDAREなどがあります。

 

www.kyash.co

 

6gr.am

 

idare.jp

 

いずれも国産ですが、どれもこれも「帯に短し、襷に長し」で、突き抜けるものがありません。とくにKyashは、サーヴィスインからしばらくは高還元率で話題を集めましたが、改悪続きで急速に失速しました。

 

さて、Revolutのリアルカードデビットカードなのでしょうか? 日本の金融法令における銀行が発行しているわけではありませんが、このアプリには、入金用にJPモルガン東京支店の当座口座が紐づけられており、日本人の概念としては、プリペイドカードとデビットカードのハイブリッドという位置づけになるように思います。JPモルガンへの入金は反映までに2営業日程度を要するので、クレジットカードからの入金が便利でしょう。また、わが国において信用の現金化は禁じられていますので、送金に使えるのは当座口座への入金分のみです(ブランドデビットからの入金分も送金可能なようですが、グレーゾーンかと思います)。

 

Revolutのお得な使い方を以前の記事で紹介しましたので、そちらもご覧ください。auユーザー向けのスキームになっていますが、VISAとMastercardのクレジットカードやデビットカードをお持ちであれば、別のヴァリエーションでも使えるはずです。

 

theonlyone.hatenablog.com

 

メタルの導入が噂されていますが、1%以上の還元率を実現するか、年会費を下げるかなど日本向けにカスタマイズしないと、追加費用を払ってまで切り替えるユーザーは少ないように思います。私も2年目のプレミアムの継続はしないことにし、先日、アプリでスタンダードへダウングレードしました。10月でローンチから1年になりますので、そのタイミングでメタルが登場するかもしれませんね。

 

もしメタルが日本でも導入されれば、その特典内容を見たうえで、また活用法を考えたいと思います。

【リワード】ゴールデンサークル

ゴールデンサークル はシャングリ・ラ ホテルズ&リゾーツのゲストプログラムです。私個人は1999年に入会し、今年で22年になります。2000年代前半までは招待制だったことと、2009年のシャングリ・ラ ホテル 東京の開業まで日本国内に対象ホテルがなかった(開業後も東京はメリットが乏しい)こともあり、日本人の会員は極めて少ないホテルリワードでした。2019年にカオルーン・シャングリ・ラで調べてもらったところ、どうやら私が日本人最古参の会員であるようです(私より古い方がおられれば、コメント欄に書き込みをお願いします)。

 

www.shangri-la.com

 

シャングリ・ラ ホテルズ&リゾーツは中華圏に集中しているため、ゴールデンサークルはマリオット ボンヴォイヒルトン・オナーズに比べると、やや使い勝手が限定されるかもしれません。ゴールデンサークルと提携したクレジットカードも中国限定での発行です。最近はヨーロッパや北アメリカにも進出していますが、やはり東アジアで力を発揮するホテルリワードです。

 

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ゴールデンサークル専用デスク

 

ゴールデンサークルには、3つのグレードがあります。

 

ゴールド

ジェイド

ダイヤモンド

 

ゴールドは、「1~12月までの1年間にシャングリ・ラグループホテルに対象宿泊料金で宿泊、または50ポイント以上を獲得すること」が会員資格です。特典は3つで、

 

・事前登録による簡単チェックイン

・ウェイティングリストの優先登録

・6歳以下の子どもの食事無料

 

です。

 

ジェイドは、「1~12月までの1年間にシャングリ・ラ ホテル、リゾート、トレーダース ホテル、ケリー ホテルまたはホテル ジェンのいずれかに対象宿泊料金で20泊または10回滞在すること」が会員資格です。ゴールド会員の特典に、

 

・同室者の宿泊料と朝食無料

・カフェレストランまたは指定レストランでの朝食ビュッフェ

・ルームアップグレード

11時からのアーリーチェックインと16時までのレイトチェックアウト

・ゴールデンサークルアワードポイントのボーナスポイント

が加わり、ぐんと魅力が増します。

 

ダイヤモンドは、「1月~12月までの1年間に世界各国のシャングリ・ラ ホテル、リゾート、ケリー ホテル、トレーダース ホテルまたはホテル ジェンにて、対象料金で50泊または25回滞在すること」が会員資格です。ジェイド会員の特典に、

 

・滞在期間中のカフェレストランまたはクラブラウンジでの朝食ビュッフェ

クラブラウンジの利用

・同室者のクラブラウンジの利用

8時からのアーリーチェックインと18時までのレイトチェックアウト

・到着時のスーツプレス

・リゾート施設の利用無料

 

が加わり、基本的に滞在中はクラブフロア「ホライゾンクラブ」ですべてが完結します。

 

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ホライゾンクラブ

 

私の経験からすると、実際の現場の運用において、ジェイドの常連客にはダイヤモンドとほぼ同等の待遇が実現されています。

 

2021年3月までは、アメックスのプラチナ・カードにジェイドの会員資格が附帯されていましたが、コロナ禍の影響でしょう、改訂されてしまいました。

 

www.poitan.jp

 

じつのところ、日本人のジェイドはこのカードの特典による有資格者がほとんどと思われ、私のように実際のゴールデンサークル修行で資格を得た方は少ないことでしょう。そういう意味では、私はどこのシャングリ・ラでも歓待していただきました。とくに、カオルーン・シャングリ・ラでは破格の扱いを受けていました。本当に感謝です。そのせいで、ほかのホテルリワードに浮気することなく今日に至っています。

 

ゴールデンサークルと中国民生銀行の提携によるクレジットカードが発行されていますが、中国限定であるところが残念です。日本での発行を切望します。

 

www.shangri-la.com

 

シャングリ・ラホテルズ&リゾーツのホテル群は竣工から年数が経過し、老朽化している施設も増えていますが、欧米のラグジュアリーホテルにはない、東西折衷のホスピタリティがあふれています。試しにリッツやWに泊まってみても、すぐにシャングリ・ラが恋しくなってしまいます。やはり、招待制の時代に20代後半の若造を入会させてくれた、という経験が効いているのでしょう。何であれ、超一流のものに出会うと、人は浮気しないものなのです。

 

いつの日か、コロナ禍が収束し、また修行に励むことができる機会を心待ちに、じっと忍耐の日々を過ごしています。

 

以上、ゴールデンサークルをご紹介しました。

【クレジット】ニューオータニクラブ ダイナースカード

ホテルリワードのクレジットカードは様々なホテルチェーンが発行していますが、基本的に当該ホテルの常連客以外に保有するメリットが小さく、その存在がマニア以外にはあまり知られていないものも少なくありません。近年の人気処では、スターウッド プリファード ゲスト アメリカン・エキスプレス・カードヒルトン・オナーズ アメリカン・エキスプレス・カードがありますが、これらは世界的なホテルチェーンのリワードと提携していて、日本でもホテル数の増加に伴い、急速に会員数を伸ばしています。

 

今回はドメスティックなホテルリワードのクレジットカードですが、 ニューオータニクラブ ダイナースカード の思い出を取り上げます。

 

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ニューオータニクラブ ダイナースカード

 

90年代後半、私は国内出張が相当の頻度であり、大阪、札幌、熊本などによく出かけていました。当時、秘書として仕えていた経営者がニューオータニを常宿としていたため、私も一緒に宿泊することが常で、ホテル側から ニューオータニクラブ(NOC への加入を勧められました。

 

www.newotani.co.jp

 

最初はNOCのハウスカード(現在は廃止)だったと思いますが、それでもダイナースクラブが発行するもので、入会資格は30歳以上の経営者か医師や弁護士に限られていました。しかも、NOC既存会員の推薦が必要です。当時の私は26歳、ただのかばん持ちですから、とても資格に適うはずがありません。年会費も2万円超えで、若い私には負担だったこともあります。

 

それでもホテル側は、私の上司を推薦者に、とりあえず入会申込書を出してください、と促してくれました。出してみたら、見事に可決。ホテル側の説明では、 NOC最年少会員 ということでした(2021年現在、ダイナースクラブの会員資格は27歳以上に変わっているようですが、それでも26歳以下は落とされ、27歳以上でなければ可決しないと聞いています。これに準じ、NOCの会員資格もカードブランドを問わず27歳以上)。26歳だった私は、年齢はともかく、ホテルの上客になると、ここまで待遇が違うものかと、若いながらに驚いた記憶があります。

 

ホテル特典は、専用デスクでのチェックイン、アーリーチェックイン、部屋のアップグレード、宿泊時の朝食無料、レイトチェックアウトなどでしたが、本当によくしていただきました。大阪では毎回、空いていればスイートルームに入れてくれました。

 

当時の私は若すぎて、ダイナースの価値がいまいち分からず、このカードを有効活用できなかったので、3年くらいで ニューオータニクラブ VISAカード へブランドを変更してしまいました(現在、このカードは募集停止)。その後、別の世界に身を投じたこともあり、カード自体を解約してしまいました。2010年(38歳)頃だったか、東京の担当者から再入会を打診されましたが、都内で宿泊する機会もなく、そのままになっています。

 

www.newotani.co.jp

 

今はインターネットやYouTubeにカードやリワードの記事や番組がこれでもかとアップされており、○○活用術!みたいなページがあちらこちらにあふれていますが、90年代後半はようやくEメールが普及し始めた頃、ハイステータスカードに関する情報が少なかったのです。現在のような情報があったら、NOCのカードも解約せずにずっと持っていたかもしれません。

 

基本的にホテルリワードのカードは陸マイラーが持つものではなく、やはり、そのホテルチェーンの上客が持つべきものかと思います。ということで、spgアメックスやヒルトンアメックスには興味が湧きません。排他的だったホテルリワードも時代と共に変わっていき、現在は顧客サーヴィスの一環となり、誰でも入会できるようになってしまいました。それだけ裕福な人が増えたのでしょうか?

 

以上、今回は、バブルの余波がまだ残る90年代後半のお話でした。