【国境】香港口岸~港珠澳大橋~澳門口岸

2018年10月23日に 港珠澳大橋 が開通し、香港とマカオ、珠海が道路でつながりました。それ以前は、日本からマカオへ向かう場合、マカオへの直行便は別として、香港国際空港からバスで上環へ出て、信德中心の港澳碼頭から外港までターボジェット(フェリー)に乗船する、というコースが一般的でした。この橋の開通により、香港島を経由せずにマカオへ行けるようになったのは、じつに画期的な出来事でした。

 

ボーダーレスじゃないボーダーということで、港珠澳大橋を特集します。2回に分けて書きますが、今回は香港からマカオへの出入境について(2019年12月現在のお話)。

 

港珠澳大橋の開通後、香港とマカオを結ぶ ONE BUS(港澳一號) (通称:ワンバス)が運行を開始しました。当初は観糖という中途半端な場所に発着していましたが、その後、佐敦、MTR九龍駅直結のELEMENTS(圓方。以下「エレメンツ」)へと変わり、一気に利便性が向上しました。

 

www.onebus.hk

 

共同運行の 港澳快線 (通称:赤バス)という会社もあり、どちらもエレメンツの跨境バスターミナルから発車します。コロナ禍の現在は運休、あるいは断続的に運行しているようですが、2019年中に複数回、この路線に乗車しましたので、その様子を振り返ります。

 

www.hkmoexpress.com

 

エレメンツの跨境バスターミナル入口(↓)は1F(日本的には2F)にあります。カウンターは運行会社別になっていますので、時刻表と目的地を確認し、どちらかの会社でチケットを購入します。平日昼間はHKD160、平日夜間と土日祝はHKD180の、変動運賃制です。基本的にカードやコンタクトレスが使えますが、発車時刻が近い便では現金を求められることがあります。その際、運賃が半額になることがありました(これがどういう措置なのかは不明。結果的にお得でしたが)。現場の判断による需給調整なのでしょう。

 

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エレメンツ1F 跨境バスターミナル入口

 

発車時刻が近づくと、GFの乗り場へ下ります。マカオ行きは2番乗り場です。

 

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エレメンツ 跨境バスターミナル

 

ここで注意したいのは、マカオ行きのチケットを購入したはずなのに、珠海行きに乗せられることがあります。この場合、香港口岸を出境後のバス乗り場でマカオ行きに振り替えられます。なので、不審に思っても、係員の指示どおりで問題ありません。(広東語で説明されますので、不安極まりないですが)。

 

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港澳快線(赤バス

 

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ONE BUS(ワンバス)

 

エレメンツを出発し、30分程度で 香港口岸 (↓)に到着します。一旦、降車し、出境審査です。バスはどこかへ走り去ってしまいます。。。

 

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香港口岸

 

イミグレーションを通過後のバス乗り場にバスが先回りして待っています。ここでマカオ行きと珠海行きのバスが集合し、それぞれの行き先ごとに乗客を振り分けます。出境審査に手間取ると、バスは無情にも走り去ってしまうことがあります。検査場構内はそれなりに広いので、高齢者なんかは少し急ぐ必要があるかもしれません。あるいは、審査カードの記入がある場合(日本人は基本的に自動ゲートを利用できます)、事前に用意しておくとか。

 

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香港口岸 出境後バス乗り場

 

バスは再び出発。香港国際空港を横目に、港珠澳大橋専用線に入っていきます。ここでびっくり! 途中、左側通行(香港規制)から右側通行(中国規制)へと車線が変更になるポイントがあります。一国二制度、おそるべし! 習近平の野望を肌で感じる瞬間です。背筋が寒くなります。

 

港珠澳大橋は全長55km。途中、約6.3kmの海底トンネルがあります。この橋は通行制限があるせいで渋滞は発生しないので、30分強で珠澳口岸人工島(↓)へ到達します。ここは、(香港から)進行方向左手がマカオへの澳門口岸、右手が珠海への珠海公路口岸になっています。車線が再び左側通行(マカオ規制)に戻るポイントがあります。安堵します。

 

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珠澳口岸人工島

 

澳門口岸 で再び降車し、入境審査を受けます。イミグレーションを通過後、またバス乗り場があり、再び乗車。車窓からは珠海公路口岸(↓)が見えます。バスは人工島からマカオ半島部に上陸し、目的地のホテル、カジノへと向かいます。エレメンツからトータルの所要時間は最速で、新口岸地区へは2時間程度、コタイ地区へは2時間半程度という感じです。

 

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珠海公路口岸

 

この路線は道中、2か所の出入境審査があって、少し頭の中が混乱するのですが、何事も慣れですね。一国二制度の最前線で、 自由→束縛→自由 を体験できます。平和ボケの日本人には貴重、いや、必須の経験といえるでしょう。

 

次回はマカオから香港へ、澳門口岸と香港口岸を結ぶシャトルバス(通称:金バス)をご紹介したいと思っています。