【国境】香港西九龍駅

2018年に広深港高速鉄道が開通し、香港側の発着点として 香港西九龍駅 が開業しました。この駅は一地両検の施策が採用されており、ワンストップで香港~中国間の出入境が可能です。

 

一地両検とは便利な施策のように思えますが、政治的には大きな問題をはらんでいます。当駅には改札とホームの間にイミグレーションが設置されており、乗客は駅構内で出入境手続きが行えますが、それは「香港の領域内でありながら、中国の法律が適用されるエリアが存在する」ということでもあります。そのため、香港の民主派の一部は香港の自治権が損なわれるとして反発しています。 

 

「一帯一路」とか「一地両検」とか、一つにまとめることを好む、整理整頓好きな人がどこかに存在するようです。稀に「向前一小歩、文明一大歩」なんていう粋なキャチコピーもあったりしますが。

 

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向前小一歩、文明大一歩

 

2019年7月、私は深圳から広深港高速鉄道に乗車し、当駅で香港に入りました。当時の思い出を振り返ります。

 

とある朝、福田 シャングリ・ラ 深センをチェックアウトし、隣接の福田駅に向かい、有人窓口で乗車券を購入します。深圳北~香港西九龍は区間列車が高頻度で走っており、繁忙期でもないので、事前に予約はしていません。飛び込みで購入します。

 

※基本的には予約必須です。旧正月なんかは殺人的に窓口が混みまっせ。

 

窓口の係員に「to Hong Kong」と告げます。この際、パスポートを提示する必要があります。国際線の航空券を購入するのと同じノリですね。一応、“国際列車”なのです。ユーロスターをイメージするとよいでしょう。香港まで2等指定席でRMB68。旅券番号と氏名の入った乗車券を受け取ります。

 

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広深港高速鉄道 乗車券

 

わが国の新幹線のように、空いていればすぐに乗車、とはなりません。45分後以降の便を指定されます。航空機のように便ごとに搭乗口が決まっており、搭乗口が開く時間までロビーにて待機です。

 

出発15分前くらいから搭乗口に乗客が並び始めたので、私も並びます。手荷物チェックを受け、自動改札を抜け、地下のホームへ。

 

広州南発の列車が到着しました。15号車03A番、3列シートの窓側に着席します。車両ごとに荷物置き場があります。

 

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広深港高速鉄道 G6517号

 

当便の乗客が全員乗車したところで、まだ定刻ではありませんが、発車します。香港西九龍まで全線がトンネル区間のため、200kmでの減速走行。あっけなく14分で到着。よって、「世界の車窓から」はありません。

 

B4FのホームからB2Fへ上がります。まず、中国エリアのイミグレーションで出境手続き。続いて、香港エリアのイミグレーションで入境手続き。その後、自動改札を抜け、晴れて自由の身になります。

 

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イミグレーションの境界線(出典:Wikipedia

 

香港西九龍駅は、左隣が機場快線九龍駅、右隣が屯馬線柯士甸駅です。圓方(エレメンツ)へも徒歩10分程度です。

 

中国の施設での撮影の可否が不明だったので、あまり写真が残っていません。私自身、ペルソナ・ノン・グラータの可能性もありますし(笑)。

 

時間や費用を考えると、福田~香港間は福田口岸と在来線を利用するほうが合理的かもしれません。今回の広深港高速鉄道は、一地両検を経験したい方、高鉄に乗ってみたい鉄チャン向けのルートですな。

 

theonlyone.hatenablog.com

 

再び一地両検を経験できる日を夢見て。