経済圏シリーズの第2回です。前回は、au経済圏を扱いました。
今回は、SBI経済圏です。
SBIグループ
SBIグループについては、とくに説明の必要がないでしょう。北尾吉孝率いるイケイケどんどんのファイナンシャル・イノヴェーターです。ソフトバンクグループだったのは遠い昔。現在、グループの主要企業は次のとおり。
- 住信SBIネット銀行
- SBI新生銀行
- SBI地銀ホールディングス
- アプラス
- SBI証券
- SBIネオモバイル証券
- SBIネオトレード証券
- SBI損害保険
- SBI生命保険
グループの中核は金融ですが、近年はエネルギー、薬品、スポーツなど異業種へも進出しています。
住信SBIネット銀行
ユーザーとのファーストコンタクトとなるのは、住信SBIネット銀行(以下「ネット銀行」)かと思います。銀行口座の開設から証券口座へと進む、またはその逆コースから始める方が多いことでしょう。
ネット銀行ではデビットカードにプラチナを本邦初導入するなど、ユーザーの心をくすぐるサーヴィスに注力しています。
NEOBANKという銀行代理業を活用する異業種提携型口座の展開にも積極的です。NEOBANKには、
等の提携先があります。
最近は、SMBCグループ、中でも三井住友カードとの提携を強化していますね。ネット銀行でのクレジットカードへの誘導は、ダイナースから三井住友カードへシフトしています。
また、SBI証券の利用でVポイントを貯めることもできます。若年層にも広がっているようです。
銀行業の強化
一昨年12月に傘下に収めた新生銀行を、本年1月4日にSBI新生銀行へ商号変更し、名実共にグループの一員としてSBI経済圏に取り込みました。新生銀行は子会社にアプラスを持っていたため、今後、クレジット事業の再構築もありそうです。
国から新生銀行に注入された約3500億円の公的資金を返済するハードルは高いようですが、そこは北尾のこと、何か秘策を用意しているに違いありません。
ライブドアをつぶしたときの、「この頭の中に知恵があります」を思い出す。
地銀との連携にも意欲的です。いずれは国内の半分程度の地銀が、規模の拡大を求めてSBIグループになだれ込んでくることが予想されます。
“限界地銀”を食い物にするなどと言われていますが、「ボーダーレス、シームレス、キャッシュレスの時代に」地銀が単独で生き残れないのは自明の理であり、スケールメリットを活かした連合が必要になってくるわけで、そこで北尾は“第4のメガバンク”を目指そうとしているのでしょう。
自前でIT化できない地銀は、SBIグループのシステムやノウハウを使って、コストを削減しながらグローバリゼーションに対応していくほかありません。
SBI経済圏の顧客層
現在のところ、SBIグループのサーヴィスは全般的に、ITリテラシーの高い層を対象に展開されている印象を受けます。「中の下」以下を顧客対象とする楽天とは一線を画し、「中の上」以上を取り込む戦略のように感じます。
SBI経済圏の将来
SMBCグループとの連携は今後も進んでいくことが予想されます。すでにクレジット事業など簡単なところから始まっていますが、ネット銀行はT NEOBANKでカルチュア・コンビニエンス・クラブとも近い関係にあるので、VポイントとTポイントの統合を皮切りに、SBIとSMBCの連合経済圏が誕生する日も、そう遠くないかもしれません。
個人的には、NEOBANKで提携しているJALとの距離感が気になるところです。SBI+SMBC+JALの連合経済圏に発展すれば、世の中も面白くなってくるんですがね。革新的なサーヴィスを期待します。
※本記事は、筆者の願望や予想に基づく内容が含まれています。