【経済圏】楽天経済圏

前回は、JAL経済圏を扱いました。

 

theonlyone.hatenablog.com

 

経済圏シリーズの第4回は、楽天経済圏です。

 

 

楽天経済圏の構成要素

楽天経済圏は、楽天ID楽天ポイントを軸に、次のサーヴィスを展開しています。代表的なものを列記します。こうして並べてみると、国民の大多数が何かしらの要素につながるのではないかというくらい、私たちの生活に密接です。

 

 

国内の楽天ID数は1億人を突破しており、連結売上高は1.7兆円(2021年現在)。「国民皆楽天」と言っても過言ではない状況です。

 

楽天カードマン

 

とくに楽天カードが好調であり、会員数は昨年1月に2,500万人を突破、今年度は3千万人に迫る勢いです。

 

www.rakuten-card.co.jp

 

日本生産性本部サービス産業生産性協議会が実施する、日本版顧客満足度指数調査のクレジットカード業種にて14年連続で第1位を獲得しています。

 

www.rakuten-card.co.jp

 

改悪続きの楽天

とはいえ、鳴り物入りで登場した楽天モバイルが伸び悩んでおり、他のサーヴィスに多大なるマイナスの影響を与えているのも事実です。楽天モバイルの赤字を埋めるため、他のサーヴィスの改悪が続いています。

 

network.mobile.rakuten.co.jp

 

楽天銀行の上場で乗り切ろうとしていますが、それで解消できるような、簡単な話ではありません。もっと深刻な問題かもしれません。

 

そもそも、通信事業はインフラビジネスであり、鉄道の新線建設なんかと一緒で、最初に巨大な投資をして、長い期間をかけてコツコツ回収する、というビジネスモデルです。日銭や手数料で小銭をチマチマ稼ぐ、楽天本来のビジネスモデルとは異なるわけです。

 

そのあたりの違いを、経営陣が読み違えたのかもしれません。

 

 

Rakuten UN-LIMIT Ⅶ

 

鉄道でも開通日に無料で乗車とかのキャンペーンはありますが、それは初日だけの話で、大盤振る舞いを続けていれば、早い段階で立ち行かなくなるのは自明の理であり、体力勝負になるのは火を見るよりも明らかです。

 

結果、ユーザーにしわ寄せが来ており、グループ全体で相次ぐ楽天ポイントの付与減につながっているのです。

 

どうする楽天

わが国の市場規模から察するに、どの業種も「大手3社+ニッチ」というのが適正です。それでは価格破壊が起きず、事実上の談合状態が続くばかりだ、という声も聞こえてきますが、歴史的に見ても、この構図が大きく崩れた期間はありません。

 

ドコモ、auソフトバンクの大手3社にMVNOがゴロゴロ、この状態で4社目のキャリアが必要なのか否か、政府の政策も含め、やや疑問に思います。イー・モバイルが長続きせず、結局、ソフトバンクに吸収された教訓が活かされていません。

 

通信業が「安かろう、悪かろう」ではダメなのです。安定した品質を維持するためには、当然、コストがかかるわけです。コストをかけていても、昨年のauの通信障害のようなことが起こるのです。何でもかんでも安ければいい、というものでもありません。

 

「何でもかんでも安ければいい」層を対象とするビジネスモデルならば別ですが、通信業は社会インフラであり、不特定多数を対象にする以上、それなりのクオリティでやってもらわなければなりません。

 

私も楽天グループのサーヴィスをいろいろ使ってみましたが、長く安定して使えるものではない、というのが現時点での感想です。コンビニの延長線上、消費社会の申し子、使い捨て文化の代名詞、という感じでしょうか。

 

そういう感覚で通信事業に手を出すのは、企業の社会的責任としていかがなものかと思います。そのあたりを消費者に見切られているのかもしれません。

 

楽天経済圏の未来

SBI経済圏の記事で触れましたが、どの購買層を取りに行くかで、ビジネスモデルが変わってきます。現在のところ、楽天経済圏の対象者は「中の下」以下のすそ野と思います。

 

ここが「何でもかんでも安ければいい」層なのかもしれませんな。

 

theonlyone.hatenablog.com

 

楽天市場を始め、いずれのサーヴィスもインターフェースの作りがITリテラシーの高い層を対象としているとは思えませんし、もっともっと簡単で簡便なサーヴィスを目指してもよいでしょう。楽天IDでワンストップというのは強みです。

 

ただし、ガラパゴスはやめてほしいと思います。グループ独自のインフラやフォーマットにこだわりすぎて、グローバリゼーションとかけ離れるのは困ります。

 

おそらく安上がりで済ませようとしているのですが。。。

 

一例として、楽天ペイの楽天カードタッチ決済とかですかね。Apple PayやGoogle Payを無視して、独自の仕組みを投入してくるわけです。キャッシュレスは結構ですが、「ボーダーレス、シームレスの時代に」独自の規格は迷惑なだけです。

 

pay.rakuten.co.jp

 

次々にポイントを中心とする経済圏が形成されていく流れで、“元祖ポイント屋”が及び腰では、楽天の未来は暗いかもしれません。あくまでもポイント屋はポイント屋であり、餅は餅屋に徹することが、楽天に与えられた天の道ではないかと思います。

 

一層の奮起を期待します。