今年に入って、数回に分けて「経済圏」をテーマに記事を書いていますが、先日、ANA Payのリニューアルがあり、巷で話題になっていますので、ANA経済圏について考えてみたいと思います。
個人的な趣味から言うと、私は青より赤です。JALマイレージバンク(JMB)に注力しており、ANAマイレージクラブ(AMC)は貯めていません。そうは言いながら、今回のANA Payはよくできていると感心しています。JALはうかうかしていられないはずです。
「アナペイ」と読む人が多いのですが、正しくは「エーエヌエーペイ」です。
ANA経済圏の構成要素
さて、ANA経済圏を構成する要素は何でしょうか。
3,800万人の会員を要するAMCをゲートに経済圏を構成しようというものですが、コマだけで見れば、JALと比べて見劣りする感は否めません。しかし、このたびのANA Payの投入で、一気に差をつけようという狙いが窺えます。
マイレージの循環による回遊性
コロナ禍で大打撃を受けた航空会社が非航空事業を強化するのは当然ですが、会員が日常生活でマイルを簡単に使える仕組みを提供しなければ意味をなさないわけです。そこで、会員に回遊性を持たせるツールとして、ANA PayやANA Mallが活きてくることになります。
ANA PayはANAカード(Amexブランドを除く)と同様、三井住友カード系(VJA)のシステムを基盤に構築しているところが肝と思います。バーチャルプリペイドカード、電子マネー(iD / Felica)、タッチ決済(Visaのタッチ決済 / NFC)を備えており、大部分の決済手段を網羅できるわけです。現時点でバーチャルプリペイドカードからSuicaやPASMOへのチャージも可能ですので、ほぼ死角がないと言っても過言ではありません。
ニーズによっては今後、リアルカードの投入もあるかもしれませんが、基本的にはANAカードからANA Payへチャージして使ってもらうことで、ANAカードの会員増を目指していくことが基本戦略と思われます。
こうして自前の決済手段を持つことにより、ANA経済圏でのマイレージの循環が生まれ、会員の囲い込みが可能となります。
これまで 搭乗 → (マイル) → ANA Pay → (マイル) → 特典航空券
↓
これから ANAカード → (マイル) → ANA Pay → (マイル) → ANA Pay
少額のマイルを無駄なく活用できる仕組みにより、AMC自体の価値が向上し、会員は搭乗によるマイレージ獲得を目的としなくても、日常生活で“マイラー”を実現できるわけです。
ANA経済圏の未来
さらに、ANAグループ全体では近い将来、決済から得られるビッグデータを活用し、旅行と決済だけでなく、ライフステージに応じた金融商品などもラインナップに含め、ANA経済圏の拡大を進めてくることでしょう。