新年を迎え、クレジットのタッチ決済を導入する、あるいは拡大する公共交通事業者が急速に増えています。インバウンドの回復もありますが、SuicaやPASMOに比べて、導入のハードルが低いのでしょう。
東急電鉄の場合、東京メトロとの相互乗り入れの関係上、自社線内の前払いや企画乗車券に限定しているなど、各社によって機能の差はありますが、将来的にはフルスペックでの実施を目標に据えているとのこと。リアルカードさえ持っていれば、気軽に鉄道やバスに乗れるというのは、やはり便利なものです。
さらに、Apple PayやGoogle Payに登録してしまえば、リアルカードさえ不要なわけで、スマホ1台で国内はおろか、飛行機に乗って海外まで行けるのです。
首都圏よりも地方での普及が進んでいます。背景には、Felicaに依拠する交通系電子マネーよりも、NFCベースのタッチ決済のほうが導入しやすいことがあります。イニシャルコストが安いのです。
事業者だけではありません。利用者にもメリットがあります。
シンガポールでのタッチ決済の場合、SuicaやPASMOのように乗車ごとに初乗り運賃が引かれるのではなく、MRTもバスもひっくるめて、一日の総乗車回数でまとめていくらみたいな感じで明細書に反映されます。営業距離で50~60km程度乗車しても、トータルで500円くらいのカウント。合理的ですから、自家用車から公共交通の利用へ誘導しやすいわけで、公益の促進にもなります。
わが国においても、都市圏ではゾーン運賃制を導入し、事業者を問わず、都心から5km以内は100円、10km以内は150円、20km以内は200円、のような一律の運賃形態にすれば、自家用車から鉄道やバスへの転換が進み、公共交通の利用拡大につながると思います。
タッチ決済は、ゾーン運賃制導入のトリガーになる可能性を秘めているかもしれません。さらなる普及を期待します。